医療法人の基礎知識
医療法人の形態にはどういうものがありますか?
● 医療法人には大きく分けて財団医療法人と社団医療法人の2種類あります。
● 全ての医療法人のうち、約99%は社団医療法人です。
● 社団医療法人は「持分あり」と「持分なし」に区分されます。
(平成19年4月の医療法改正により現在は「持分あり」の医療法人設立はできません。)
「持分なし」は「公益性が特に高い法人」※と、「一般の持分なし社団医療法人」に区分されます。
さらに、「一般の持分なし社団医療法人」は「基金拠出型法人」と「基金なし法人」の社団に区分されます。
「基金拠出型法人」とは、医療法人から基金拠出者への返還義務がある基金制度です。
「基金なし法人」とは、医療法人から拠出者への返還義務がない拠出制度です。
※本サイトでは最も一般的な「基金拠出型法人」について解説します。
※「公益性が特に高い法人」・・・特定医療法人、社会医療法人
財団と社団
財団とは、財産の集合体のことで、寄付行為によりその財産は形成されます。
解散時の残余財産は国等へ帰属します。
社団とは、人の集合体のことです。
現在設立できる社団医療法人は財産を拠出しても医療法人に対する持分はありません。
基金拠出者に対して基金の返還が可能です。
解散時の残余財産は国等へ帰属します。
基金とは
医療法人に拠出された金銭その他の財産です。
医療法人は定款の定めにより返還義務を負います。
(ただし、拠出時の金額が限度です。)
基金は劣後債※扱いになります。
基金の返還には利息を付すことができません。
相続税評価額は拠出時の金額が上限になります。
※劣後債・・・一般の債権者よりも返済順位が劣る債権
医療法人の組織はどうなっていますか?
● 医療法人の組織には、社員総会、理事会、理事、監事があります。
● その中心は社員総会と理事会です。
1 医療法人の組織
医療法人の組織は、株式会社の組織に似ていますので比較してみます。
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医療法人 |
株式会社 |
最高意思決定機関
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社員総会 |
株主総会 |
業務執行機関 |
理事会 |
取締役会 |
監査機関 |
監事 |
監査役 |
役員 |
理事 |
取締役 |
代表者 |
理事長 |
社長 |
2 社員総会と理事会
社員総会とは、医療法人の最高の意思決定機関で、役員の改選など重要な決議を行います。
理事会は、理事長、常務理事、平理事により構成され、定款や社員総会の意思決定に従って医療法人の業務を行う機関です。
医療法人の設立手続きはどうするの?
● 医療法人の設立は、都道府県の認可によりなされます。
1 設立の方法
医療法人の設立は、設立しようとする医療法人の所在地の都道府県に申請をして、
医療審議会の審査を経て認可されることにより設立されます。
2 設立の手続
医慮法人の設立により個人診療所は廃止されることになりますから、
保健所等への届出も新規開設として届出が必要になります。
3 認可されるまでの期間は約6ヶ月
設立申請から認可までの期間は、都道府県により異なりますが、通常は約6ヶ月かかります。
医療法人を売却することはできますか?
● 医療法人の基金を売却することにより、医療法人の所有する財産、負債が包括的に売却できます。
社員は基金の返還を受けることになります。
なお、含み益部分を売却代金とすることはできません。
医療法人の合併をすることはできますか?
● 他の医療法人と合併することもできます。
1 後継者がいない場合
医療法人の理事長は医師であることが要件となっています。
したがって、後継者に医師がいない場合には他の医師を理事長にする以外には医療法人の継続ができません。
2 合併の検討
そこで、他の医療法人と合併して医療法人の継続を図るとともに合併後の医療法人の理事として医師以外の後継者を医療法人の経営に参画させることができます。
医療法人を解散することはできますか?
● 医療法人の継続が困難な場合には解散することになります。
1 解散の意味
医療法人を解散するということは、法人形態を解消して財産や債務を精算することです。
2 解散した場合の残余財産
医療法人を解散した場合に、多額の利益の蓄積がある場合に、その金額が基金を超える場合には、その超える部分について国等に帰属します。
3 解散を前提とする場合の対応
後継者がいないことから将来的に解散することを前提とする場合には、将来含み益の生じるような資産を購入しないことが必要です。
また、多額の利益の蓄積が生じないように退職金制度等の検討も必要です。