[画像+] 院長の報酬は給与所得になり、給与所得控除が使えます。
個人事業のときは、収入から経費を差引いた利益が税金の対象となります。
これに対して給与所得の場合は、給与所得控除額を差引いた後の金額が税金の対象になります。
したがって、同じ3,000万円の利益でも事業所得より給与所得とする方が125万円も税金が得することになります。
所得税・住民税概算比較
(単位:万円)
利益(給与額面) | 個人事業の場合 | 給与の場合 | 差額 |
1,000 | 280 | 204 | 76 |
2,000 | 731 | 632 | 99 |
3,000 | 1,240 | 1,141 | 99 |
4,000 | 1,748 | 1,649 | 99 |
[画像+] 個人事業では事業主に対する退職金の支払は経費として認められていません。
[画像+] 医療法人の場合は院長の退職に際して支払う退職金は適正な金額であれば経費とすることができます。
医療法人において退職金を支給する場合、退職金規程を定めておく必要があります。
そしてその規程の範囲内において退職金を支給することになります。
院長の退職金は、一時に多額の支出を伴うことになりますので、生命保険の加入等により計画的な準備をすることも重要です。
医療法人はこの退職金の費用計上により節税ができます。
また退職金に対する税金は、給与と比べて所得税の負担が格段に低く優遇されているメリットがあります。
[画像+] 個人の場合には、高額な生命保険料を支払っても最高で12万円の生命保険料控除しかありません。
[画像+] 法人の場合には、加入される生命保険の種類にもよりますが、全額経費になる保険もあります。
個人事業の場合、院長に対して掛けている生命保険は、個人事業の経費にはなりません。
所得税の生命保険料控除(最高12万円)として取り扱われるます。
医療法人の場合には、積立部分の生命保険料については経費になりませんが、掛け捨て部分の生命保険料については経費になります。
また、節税でよく使われるのは「逓増定期保険」です。
この逓増定期保険は支払保険料の半額が経費となり、しかも、解約したときの返戻率が90%を超えるものもあります。
[画像+] 医療法人では、社会保険診療収入について源泉徴収されずに決定金額の全額が入金されます。
医療法人に対して課税される税金は法人税となります。
法人税については所得税のように源泉徴収制度はありませんので、法人に入金される報酬金額は、決定金額の全額となります。
個人事業の場合には支払決定額に対して約10%が源泉徴収されていましたが、医療法人になることによりその分、資金繰りが良くなります。
[画像+] 個人事業の場合、子供に経営を引き継がせる場合や院長が亡くなった場合には廃院手続きが必要です。
[画像+] 医療法人の場合、理事長の変更届を提出するだけで引継ぎが可能です。
個人事業の場合、子供が引き継ぐ場合も再度の開設許可申請が必要です。
その間は、保険請求はできません。
医療法人の場合、院長を理事に在籍したまま後継者を理事長にする事業承継も可能です。
[画像+] 消費税の納税義務は原則2年前の自由診療報酬が1,000万円超の場合です。
医療法人を新規設立した場合、法人としては2年前の自由診療報酬は0円です。
したがって、設立当初の消費税が免除されることになります。
[画像+] 医療法人の場合、好きな月を決算月にすることができます。
個人事業の場合、1月から12月までの事業期間を変更することはできません。
法人の場合、決算月は自由に決めることができます。
病院・診療所の繁忙期を考慮して決算月を決定することが重要です。
[画像+] 個人事業では認められていない分院の開設や、有料老人ホーム・グループホーム等の開設ができます。
[画像+] 個人事業の場合、欠損金は最大3年間しか繰り越すことができません。
[画像+] 医療法人の場合、欠損金は最大10年間繰り越すことが可能です。
[画像+] 個人事業の場合、減価償却は強制償却です。
[画像+] 法人の場合、減価償却は任意ですので赤字が多くなってしまった年度の償却費は次年度に繰り越すことが可能です。
[画像+] 設立年度を数か月に設定し、社会保険診療報酬を5,000万円未満にすることで措置法26条が使える可能性があります。
[画像+] 設立時に拠出した基金は在職中でも返還を受けることができます。
[画像+] 基金の返還は借入金の戻りと同様ですので税金はかかりません。